きみは、『妖精』を信じるか。
急に何を、というかもしれない。おれもそうだった。しかし、世の中というのは意外と妖精に満ちているものなのだ。街灯に腰掛け、楽しそうに足をぶらぶらさせているやつ。割れかけたしゃぼん玉をほんの一瞬だけ保たせてやるやつ。コップの中の氷を上手に鳴らすのに執心しているやつなんてのも居る。
もしかしたら、これらの別名を『妖怪』だとか『八百万の神』だとかいうのかもしれない。
肩を踏むリズムにぴったり合わさるミシンの音で満たされた、窓の大きい一室。日当たりの抜群によい清潔な一室で、おれは今もおれの心を込めて艦娘たちの服を作り続けている。
今日の波も穏やかだといい。カラカラとボビンが回っている。